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執筆者の写真琢磨 徳安

『体幹トレーニングで、インナーマッスルが鍛えられる』は間違い?? インナーマッスルにまつわる誤解とは‼



最近では一般的にも認知されている“インナーマッスル”

でも、漠然としたイメージが先行し、具体的な部位や、その役割までは理解されておらず、間違った認識がされていることも多いと言われています!

今回は、そんな“インナーマッスル”の間違った認識を確認し、改めて“インナーマッスル”について正しく認識し、なぜインナーマッスルを鍛えることで競技力アップにつながるのかを、確認していきたいと思います😉


まずは、そもそも“インナーマッスル”がどんなところにあるのかを確認しておかないと、話が進みませんので、場所・部位の確認をしていきたいと思います!

“インナーマッスル”は関節運動の自由度が高い『肩、脊柱、股』にあるとされており、肩関節では回旋腱板(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)、脊柱では多裂筋、股関節では外旋筋群(梨状筋、上・下双子筋、内・外閉鎖筋、大腿方形筋)という筋肉が“インナーマッスル”に該当します!


さて、本題に入る前に“インナーマッスル”について1つ面白いことがあります。

実は、解剖書で“インナーマッスル”を索引でみてみると、その多くは“インナーマッスル”という言葉の記載はないんです!

では、この“インナーマッスル”という言葉は、どこから広まったのでしょうか???

その答えは、『もっと使えるスポーツサイエンス』という著書の中にありました!(ちなみに、このコラム、「筋肉は裏切らない」という言葉で一躍有名となった谷本道哉先生が共著で書かれています!)


谷本先生によると、

「“インナーマッスル”という言葉が一般的に使われるようになったのは、1990年頃に野球選手の方のコンディショニングとして肩関節にある4つの筋肉からなるローテータ-・カフ(回旋筋腱板:棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)に注目が詰まったからだと言われています。ローテーター・カフには、主に上腕骨の骨董を関節窩に引きつけて、肩関節が外れないように安定させる“関節スタビリティ”の働きがあります。

ローテーター・カフは外から見えない深部に位置します。中にある筋肉という意味でインナーマッスルと呼ぶようになったのでしょう。」

とのことで、“インナーマッスル”の語意は、『身体の深部にある筋肉』という意味合いで使われ始めたようですね!


さて、前置きはこのくらいで、本題に入っていきたいと思います!

【誤解その1】:筋トレでつけたアウターマッスルは使えない筋肉??

答えは…、×

◎運動は主に関節を支点として筋肉で骨を動かす(関節を中心とした回転運動)ことで起こります。この際に主に回転運動に働くのは関節モビリティの役割を持つアウターマッスルです。つまり、運動においてパフォーマンスを発揮するのはあくまでも関節モビリティの役割を持つアウターマッスルということになります。

ただし、このアウターマッスルの機能を最大限に発揮するためには、回転運動の際の回転軸を安定させ、支点を固定させる関節スタビリティに働くインナーマッスルの役割が必要になります! 理由は、関節モビリティ作用が強大であるほど、関節軸に働く力も大きくなるため、高い関節スタビリティ能力が必要となるからです!


【誤解その2】:インナーマッスルは軽負荷でないと鍛えられない??

答えは…、×

◎「インナーマッスルは軽負荷でなければ鍛えられない」という言葉をよく耳にしますが、これにも誤解があるようです! これは、“高負荷でトレーニングを行うとアウターマッスルばかりを使って、インナーが使われない”ということを理由に出されますが、実はコレ、筋電図を用いた研究でその様な現象は起きないことが確認されているんです!

この研究では、インナーの筋として棘下筋を、アウターの筋として三角筋後部線維が対象とされていますが、そのどちらも“負荷強度の増加に伴い筋活動レベルが増加していく”ことが確認されています!

ただし、関節の角度によっては、“インナーの筋肉が働きやすい・アウターの筋肉が働きやすい”ということもありますし、同じ肩関節のインナーマッスルでもこの筋肉がもっとも作用している、ということはあるので、トレーニング時の関節角度は重要だと思われます!

【誤解その3】:体感トレーニング(フロントブリッジなど)はインナーマッスルを鍛えられる??

答えは…、×

◎ここでちょっと厄介なのは、『体幹の安定性』と『関節運動軸(回転軸)の安定性』とは別に考えないといけないことにあります😅

“インナーマッスル”が作用する関節スタビリティは『関節運動軸(回転軸)の安定性』のことを指し、体幹部が動かないように固定して安定させる体幹トレーニングの『体幹の安定性』とは、分けて考えないといけません!

そして、この体幹トレーニングでは腹直筋や脊柱起立筋、腹斜筋群などのアウターの筋肉が大きく作用し、同じ背部にある多裂筋(脊柱のインナーマッスル)はあまり作用しません!

つまり、体幹部の固定の主役はあくまでアウターマッスルですので、体幹トレーニングではインナーマッスルは鍛えられないんですね!!


いかがでしたか!? 今ではよく耳にするほど知られている“インナーマッスル”ですが、実は誤解されていることも多いと思います!


なお、当院では、トップアスリートのトレーニングに使用しているレッドコードを利用した体幹トレーニングのプログラムも提供しています! 効果的な体幹トレーニングをやってみたいという方は、ぜひお気軽にお問合せ下さいね😉




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