顎(あご)の痛み
顎関節症
(鳥栖市在住/男子高校生)
この患者さんは、食事の時の顎関節の痛みで来院された患者さんです
初診時には、口を強く噛みしめた時の顎関節の痛みや、顎関節の運動に伴う痛みや雑音,
口を開けるときの引っかり感(異常運動)などの症状が診られました。
顎関節の障害は、その原因により以下の5つの型に分類されます。
・Ⅰ型:咀嚼筋によるもの
・Ⅱ型:顎関節を包んでいる関節包や靭帯によるもの
・Ⅲ型:顎関節の関節内にある関節円板によるもので、いわゆる“顎内障”
・Ⅳ型:関節を構成している骨の変形によるもの
・Ⅴ型:心因性によるもの
Ⅳ型やⅤ型は整形外科などの医療機関への受診をお勧めしますが、Ⅰ~Ⅲ型は接骨院(整骨院)でも治療が可能です。
ただし、スポーツ障害などの他の障害と同様に、原因は痛みなどの症状のある部分だけ治療しても症状は軽快するけど完全には治らない事もあります。その場合は、それ以外の部分へのアプローチが必要となります。
この様に触診によって雑音を出すタイミングや、顎関節の動きなどを確認しています
この患者さんも咀嚼筋へのアプローチで大幅に痛みは軽減しますが、完全になくなるわけではありませんでした。次に、顎関節の運動に左右差(アンバランス)がみられていたため、顎関節の運動に対してアプローチをしたところ、雑音や引っかかり感が徐々になくなっていきました。
治療開始時には毎日の食事中にはほとんど症状がでているとの事でしたが、この時点ではその回数が減ってきていました。
治療を開始して4~5回目には治療開始前と比べ大きな支障はなくなってきていましたが、その経過も当初の様な大きな改善がみられなくなってきました。
そこで、再度症状の発生する状況と、症状が軽減する要素を再検討し、最後に顎関節とは違う部分へとアプローチしました。
その後、症状は1週間に数回、わずかに感じる程度まで軽減し、本人と確認のうえ、あとは自宅でのセルフケアで十分対応できると判断したため、7回目の治療で終了しました。
接骨院では顎関節の治療はあまりイメージがないかもしれませんが、私たち柔道整復師(接骨院の仕事をするための医療国家資格)は骨や関節だけではなく、筋肉や腱、靭帯、関節包などの軟部組織と呼ばれる組織の損傷(ケガ)や障害の専門家です
ただし非常に残念ながら、国家資格である為ある程度の知識・技術は身についていますが、それも十分ではありません。臨床で実際に患者さんや症状と向き合い、その原因の特定や判断、治療するにはより多くの知識や技術、経験が必要となります。
他の仕事と同じように学校を卒業したら(資格を取ったら)すぐに仕事ができる(治療できる)、というわけではありません。
当院では一人ひとりの患者さんと向き合い、治療に向けて一緒に取り組んでいます。
また、最善の治療ができるように、年間を通してスポーツ現場での経験や研修会への参加、主催する勉強会の企画などを積極的に行っています。
ケガや身体の痛みなどでお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。