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肩まわりの痛み

投球障害(野球肩・SLAP損傷疑い)

(鳥栖市在住/男子高校生)

この患者さんは投球障害、いわゆる“野球肩”で来院されている患者さんです。

“ぎっくり腰”などと同じように、“野球肩”も一言でまとめられていますが、その原因には様々な要因があります。

この患者さんの場合は、症状の出方や圧痛(押して痛みを感じる部分)の場所などから、野球肩のなかでも『SLAP損傷』という病態が疑われます。“疑われる”と書いたのは、このSLAP損傷は肩関節の内部にある“関節唇(かんせつしん)”という組織の損傷であるため、MRIや関節鏡などの検査機器を用いないと確定診断ができないためです。接骨院(整骨院)ではその様な機器は使用できないため、“疑われる”と書きました。

投球障害(野球肩」の治療➀
投球障害(野球肩)の治療②

「関節の内部なら接骨院では治療できないのでは…? 病院で手術しないといけないのでは…?」などと疑問に思う方もいらっしゃると思います。

確かに、中には手術でないと痛みがとれないものもありますが、実はリハビリやトレーニングなどの保存療法でも十分対応できることの方が多いんです。

そのことは横浜DeNAベイスターズのチームドクターでもある山﨑哲也先生の論文(投球障害肩の診断と治療 -手術的治療は必要か-)にも、「ほぼ9割以上は保存療法で治り、手術に至った例は10%もない」との報告があります。

また、もし仮に手術を行ったとしても投球障害の一番の原因は1回1回の投球の積み重ねによるものであるため、その投球フォームを変えない限りは再発するリスクは高いです。

この患者さんも当院で行う保存療法でも十分な結果が出ています😊

下の動画は、治療前に投球動作をしてもらい治療前の“痛みの部分”や“痛みの出るタイミング”、“痛みの強さや感じ”などを確認してもらっているものです。痛みの出る場所を患者さん自身に示してもらっています。

次の動画は治療後の動画です。投球時の痛みはなくなっています。

ですが、まだ完治とは言えません。徐々に練習にも参加するようにしていますが、練習や試合に完全復帰するためには、肩の治療と並行して投球フォームの改善や肩以外の部分へのアプローチも必要になります。

 

他のスポーツ障害も同じように、痛みの出ている部分だけを治療しても一時的には痛みは緩和されると思いますが、完治はできません。これは日常生活の中で出てきた痛みにも同じことが言えます。

当院では、質の高い医療を提供できるように、常に最新の知識・技術を学ぶように心がけています。

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