股関節まわりの痛み
下前腸骨棘裂離骨折
(小郡市在住/男子中学生)
この患者さんは、サッカーの試合中にボールを蹴ったときに股関節あたりに痛みを感じたとの事で来院されました。
歩行中も少し痛みを感じるようで、階段の昇り降りで痛みが強くなるとの事です。また、痛みを最も強く感じるのは、脚を後に振り上げた動作ということでした。
まずは、仰向けに寝てもらい痛みの訴えのある場所を触診してみました。大腿部(太もも)を膝の方から徐々に股関節に向けて触れていき、股関節周囲まで押したところやや痛みを感じるところはあるものの、損傷部にみられるような強い痛みはなさそうでした。
今度は骨盤部を押していきます。“上前腸骨棘(骨盤の前上方部分にある出っ張り部分)”には圧痛はありませんでしたが、その近くにある“下前腸骨棘”と呼ばれる部分に強い痛みが出ました。
次に、仰向けで膝を伸ばしたまま脚を上に挙げてもらいます。先ほど押して痛みのあった部分に痛みが出ました。
最後にうつ伏せになってもらい、膝を曲げていきます。同じように押して痛みのあった部分に痛みが出ました。
どうやら“下前腸骨棘”に問題があるのは間違いなさそうです。
問題は、どの程度の損傷かです。
可能性としては大腿四頭筋という太ももの前にある強力な筋肉が付着している“下前腸骨棘”付近で筋や腱が損傷を受けているのか、もしくはボールを蹴ったときの大腿四頭筋の強力な牽引力で付着部である“下前腸骨棘”が骨折を起こしているかが考えられました。
発生した状況や、現在の症状に加え、年齢なども含めて総合的に判断した結果、骨折が起こっていないとは完全に否定できなかったため、ある程度の処置を行い、翌日にでもかかりつけの整形外科を受診してもらうことにしました。
整形外科でのレントゲンの結果、やはり骨折があったそうでした。
ただし、入院の必要性はなかったみたいですので、完全な骨折ではなくヒビや骨が少し浮き上がったような状態のいわゆる不全骨折だと思われます。
今回のケースで骨折の可能性を否定できなかったのは年齢的な要素が大きかったためです。この患者さんは中学2年生(14歳)で、骨が成長段階であるのに対し筋力が強くなってくるという状況があります。この患者さんの様な、小学校高学年~高校生にかけての時期は他にも様々なケガや痛みを出す時期でもあります。
今回のケースでは、少し痛みはあるものの歩行はできたり、内出血もなく、痛みは股関節あたりで訴えていたため、股関節の捻挫と判断される場合もあります。
日頃より様々なスポーツ現場でのトレーナー活動を通して、知識・技術・経験を高めていることが活かされたケースでした。
ご家族やお知り合いの方で、成長期のケガや身体の痛みなどがある方がいらっしゃいましたら、知識・技術・経験豊富な当院へぜひ一度ご来院ください。
また、すでに他の医療施設にいっているけどあまり変化がない、などでもぜひ一度ご相談ください。