皆さん、今までケガをしたことはありますか???
大半の人は、ケガをしたことがあると思いますが…
『じゃあ、ケガをしてアイシングをしたことがある人(患部を冷やした人)は居ますか???』と聞かれると、これも、『冷やしました!』と答える人の方が多いと思います。
でも、本当に『冷やしましたか…???』
当院を受診するスポーツをしている学生さんや、その保護者の方に『冷やしましたか?』と聞くと、よく聞く答えは『はい、冷やしました! シップで!』。 『………。』😅
一般的によくあるカン違いですが…、『シップじゃ、冷やせませんよ~~~!!😱』
ウソだと思う疑り深い人は、この実験動画をご覧ください!
この動画でわかるとおり、シップでは冷えません。(※極微妙な変化は、室温によるものと思われます。)
シップを貼ると冷たく感じますが、メントールなどの化学成分が皮膚の感覚神経(温度覚)を刺激することで冷たく感じます。でも、冷えません。
では、”『アイシング(冷やす)』って、そんなに大事なの? なんでシップじゃダメなの??”と思う方もいると思いますので、『アイシング』がなぜ大事なのかをご説明したいと思います😉
そもそも『アイシング』を含んだ、スポーツ外傷時のRICE処置は1978年にアメリカで提唱されたのが始まりです。その後、RICE処置は急性外傷時のゴールドスタンダードとして、一般的に認知され長年普及していきました。
しかし、2000年を過ぎたころから、少しずつアイシングの効果に対する否定的な意見や、研究結果が出され始めました。
現在では検索サイトで”アイシング 効果”と入力すると、「アイシング 効果なし」という文字が出てくるほど、アイシングに対する否定的な情報が出てきます。
ですが、アイシングに関する最新の情報では、識者による以下のような意見が出ています。
・アイシングに否定的な結果の出た研究や参考文献の原文の内容を確認すると、データ数が少なかったり、そもそも急性外傷を対象としていないアイシングの研究だったり、ある特定の外傷だけのデータであったり、検討内容が十分ではなくエビデンス不十分なものもある
・否定的にとらえられた多くの文献では、”RICE処置はしない方がいい”と書かれているものはほとんどなく、『(その時の)症状に応じて、こうすべきである』というような表現が多い
・『アイシング』をめぐる現状は、応急処置としてのアイシングと疲労回復やパフォーマンス向上のためのアイシング(いわゆるクーリング)とがごちゃ混ぜになって情報配信されており、目的や作用など整理して考える必要がある
・これからのアイシング(急性外傷に対する)は、損傷の程度によって使い分ける必要があり、必ずしもケガをして72時間以内は必ずアイシングをしないといけないわけではない
ちょっと話がそれましたが、話を元に戻します。
『なぜ、アイシングが大事なのか?』
急性外傷の時に行う”RICE処置”は、それぞれ『R=Rest(安静)』、『I=Ice(冷却)』、『C=Compression(圧迫)』、『E=Elevation(挙上)』の頭文字をとってできた言葉です。
これらの処置は、すべて炎症・出血・腫脹(腫れ)をおさえる目的で行われます。
その中でも『アイシング』に特徴的にみられる作用には、➀”疼痛緩和”と②”二次的低酸素障害の抑制”があります。
➀疼痛緩和:
冷やすことにより、痛みを感じとる痛覚神経からのシグナル(情報)伝達を抑制し、痛み刺激による(筋肉を中心とした)周辺組織の過緊張を抑える
②二次的低酸素障害の抑制:
ケガにより損傷を受けた細胞から流出した侵害性酵素の働きや、出血・腫れによる周辺組織への循環障害により起こる低酸素状態を抑制し、健常細胞の壊死(二次的被害)をおさえる
これらの作用による最大のメリットは、次のようなものがあります。
➀『痛みによる、過剰な(不必要な)動きの制限を起こさない』
②『ケガに伴う、二次的な被害を最小限に抑えてくれる』
この2つの効果は、ともに早期復帰を目的とした場合に非常に重要で、現在では、従来の”RICE処置”にこれらの作用を入れた『PORICE』という言葉が、ファーストエイド(応急処置)対応として、新たに提唱されています。
※『P=Protection(保護)』、『O=Optimal Loading(適度な負荷)』
いかがでしたか? きちんと冷やすことで、損傷の拡大を最小限におさえ、治癒に至る期間も早めてくれる。『アイシング(冷やす)』って重要ですよね?
では、最後に家庭でもできる基本的な『アイシング』用の簡易アイスバッグのつくり方を動画でご覧ください😉
《正しい作り方》 ※家庭用冷凍庫の氷を使用する場合は、少量の水を加えましょう!
《空気を抜いたアイスバッグと空気を抜いていないアイスバッグの違い》
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